人材を以て資源と為す

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人財を持って資源と為す

「人材を以て資源と為す」という言葉をご存知でしょうか。
沖縄県の教育関係者でこの言葉を知らない人はいないでしょう。この言葉は、沖縄県内だけでなく様々な場で、教育理念として掲げられています。また、この言葉は大宜味村の村是でもありますから、大宜味村民なら知らないはずがありません。

実は、yamaが大宜味にやってきた理由の1つがこの言葉です。30年以上前にyamaは大宜味村に来たことがあります。ちょうど下校時だったのか、辺土名高校前のバス停でたくさんの高校生たちがバス待ちをしている様子を見た記憶があります。その後しばらく経って、「人材を以て資源と為す」と言う言葉が大宜味村で生まれた言葉だと知った時、その高校生たちの姿を思い出しました。大宜味村は、教育の関心が高く元気な子どもたちがたくさんいる村、としてyamaの心に刻み込まれました。そんな大宜味村で子どもたちと関わっていきたい、yamaはそんな風に考えたのです。

4月22日に、大宜味村老人クラブ連合会創立60周年記念特別企画座談会が「『人材を以て資源と為す』を村民共通の話題に」と言うテーマの下で催されましたので、yamaも出席させて頂きました。その日は参加者も多く、残念ながらyamaは発言の機会を得ることはできませんでした。しかし、どうしてもyamaの想いを多くの方々に知って頂きたくて手紙をしたため始めました。その手紙が昨日ようやく完成し、何名かの方にお届けすることができました。今回は、その手紙を若干手直しをして、ここに公開してみたいと思います。

「人材を以て資源と為す」を村民共通の話題に

はじめに

04/22に開催されました大宜味村老人クラブ連合会の創立60周年記念特別企画座談会に出席させて頂きまして、有難うございました。出席者の皆様の熱い想いに触れることができて、私も想いを新たにすることができました。限られた時間の中でしたので座談会では発言致しませんでしたが、是非とも私の想いや考えも知って頂きたいと考え、筆をとった次第です。

「人材を以て資源と為す」

今、核家族化が進む一方で巷には様々な情報が溢れており、多くの親たちが子育てや教育に困惑しています。そのために近頃は子育てを疎んじる若い世代が増えています。子育てを避けようとする原因の多くは経済問題ではないため、金銭面だけではこの問題が解決できないことがわかってきています。
そんな中で、「人材を以て資源と為す」との村是を高く掲げて明確な方向性を示し、大宜味村民全体が子育てや教育に積極的に関わることで、子育てに関するイメージを大きく変えることができれば、内外に強くアピールすることができるだけでなく、多くの賛同を得ることができるでしょう。政府ですら「異次元の少子化対策」が必要であると言わざるを得ない今だからこそ、「人材を以て資源と為す」の村是を高く掲げるべきだと思います。

「人材」とは

近頃、「人材」と言う言葉を悪いイメージで捉える人たちが増えているそうです。そのため、中には「人財」などと言い替える企業も増えているそうです。(「財」という字には「価値があるもの」意外に「持ち物、処分してよいもの」との意味が含まれます。「人材」よりよほど悪いイメージだと個人的には思います。)「人材を以て資源と為す」を口にする際には、「人材」と言うことばを明確に定義しておくべきだと考えます。「人材」とは、もともと「才能を持った人」、「人が持つ才能」などを表す言葉ですが、これだけでは様々なイメージを持つおそれがあります。そこで、「人材」とは「誰かの役に立つ人」、「誰かから必要とされる人」と定義することを提案致します。そして、ここで言う「誰か」には自分自身を含むこと、どんな「人材」がどんな人(や団体)の役に立つのかを見極めマッチングしたりコーディネートしたりする者もまた、重要な「人材」であることを強く述べておきたいと思います。

人材育成=能力開発

そのような人材を育てるには、子どもたち一人一人が持つ様々な能力や特性を伸ばしてやらなければなりません。ここで言う能力や特性は「学力や学歴」だけでありません。「学力や学歴」だけに注目すると、むしろ他の多くの能力や特性を削り取ってしまうことにもなりかねません。「学力や学歴」だけにこだわらず、子どもたちの持つ能力や特性を広く伸ばしてやる必要があります。近頃、耳にすることが多い「自己肯定感」や「自己効力感」、「受援力」などの非認知能力をいかに伸ばしてやるかが大切です。何故なら、「学力や学歴」、「やる気」や「向上心」もそれぞれ、いくつかの非認知能力の上に成り立っていると考えられているからです。人材育成には能力開発が重要なのです。

まずは、大宜味「でも」できる人材育成から

子どもたちが持つ能力や特性は様々ですから、画一的な方法で子どもたちの非認知能力を伸ばしてやることはできません。ですから、子どもたちの能力開発には特別な施設や教材などは必要ありませんし、お金もかかりません。子どもたちの能力開発にとって一番必要なものは家庭力です。様々な施設が少ない大宜味村でも、家庭力さえあれば、子どもたちの能力を伸ばしてやることは充分に可能です。様々な能力や特性を充分に伸ばしてやることができれば、学力や学歴は後から勝手についてくるものです。子どもたちの持つ非認知能力を充分に伸ばす前に様々な習い事をさせても、却って逆効果になってしまうかもしれません。まだ小さい子どもたちに学力や学歴をつけようとして、様々な習い事をさせる必要はないのです。それだけでも、経済的、時間的、労力的な親の負担はかなり軽減されるはずです。

そして、大宜味「だからこそ」できる人材育成へ

大宜味村には他の地域にはない、子どもたちの能力開発にとっての特長がいくつもあります。

・豊かな自然

子どもたちの非認知能力のうち、ストレス耐性や適応力、達成力や問題解決能力、柔軟性などは自然環境の中で強く育まれます。山でドングリを拾ったり海で貝を探したりするのと、ゲームの中でアイテムなどを探し出すことには大きな違いがあります。一番大きな違いは、自然の中での探し物は「どれだけ探しても、もとから無いかもしれない」ことです。これが子どもに教えてくれることはとても大きいのです。無駄になるかもしれない努力を惜しまないことは、それだけでとても大きな能力でもあり、他の様々な能力の下地や基礎ともなるのです。

・元気なお年寄りと大家族

子どもの自己肯定感や愛着は主に家庭の中で育まれます。その際に関わる家族や大人たちが多ければ多いに越したことはありません。また、お年寄りは子育ての大先輩です。書籍やネットからだけでは得ることができない貴重な経験をたくさん持っておられます。その経験と知恵をお借りすることができれば、きっと子育ても楽しく楽なことに変わってくるでしょう。

・こども園から高校まで揃っており、それぞれが一つずつしかないこと

また、こども園から高校までの全てが揃っていることも大きな特長です。大宜味村内だけで子育てのほとんどを完結することができるのです。さらに、こども園から高校まで各段階に施設が1つずつしかありません。これは、それぞれの施設が縦に密に連携できれば、同じ方向性でぶれることなく子どもたちの成長を手厚く見守ることができる可能性があると言うことだと考えます。

・大宜味村はやんばるの中継地であること

大宜味村は、名護市、国頭村、東村の中継地点として立地しています。これは言い替えれば、子育てのために大宜味村に住みながら村外で働く生活、ベッドタウンとしての大宜味村の可能性を示すものです。大規模な産業誘致などしなくても、豊かな自然環境を残したまま人口を増やすことができる可能性があるのです。

これらの特長を活かし「人材を以て資源と為す」を合い言葉に、村民全体が子育てや教育に積極的に関わることが実現できれば、子育てや教育による村興しも、けして遠い夢では無いではありません。「人材を以て資源と為す」の言葉の下、村民全体で「夢のある楽しい子育て」を支えていく、そんな大宜味村であってほしい、と心から願っております。

2023.05.29
ぶながやっ子ハウス代表:yama

参考資料:Z世代の約2人に1人が「子どもがほしくない」と回答。

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