間違い直し 2025.05.13

でぃきやープロジェクト
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久しぶりの間違い直しです。今日の間違い直しは、入学したばかりの新一年生たちの宿題から紹介したいと思います。
それでは、まず今日の宿題を紹介してみましょう。何を間違えているのか、なぜ間違ったのか、じっくり考えてみてください。

問題をよく読みましょう

yamaはこのプリントを見て、「ちょっと不親切なプリントだな」と感じました。おそらく、次の様なプリントでしたら、間違える子どもはもう少し減っていたんじゃないか、と思います。

元のプリントは、問題文の前に大きなイラストがあるので、子どもたちは問題文を読む前に問題に取りかかってしまったのだと思います。さらにイラストの上には、「めあて」として「おなじ なかまが わかるように なりましょう」と書かれています。イラストの下に書かれている問題文を読まずにとりかかってしまった子どもたちも多かったのでしょう。でも、全ての子どもが間違ったわけではありません。たくさんの子どもが間違う一方で、アっと言う間に自分一人で正解してしまう子どもたちもたくさんいました。この子どもたちは何が違うのでしょう。

スタートダッシュ

yamaはいつものように、子どもたちに問題文を声を出して読ませてみました。すると、間違えた子どもたちの中には、やはり、充分に字が読めていない子どもたちもいました。問題文が満足に読めていないのですから、解けるはずがありません。時折、「小学校に入る前には、字の読み書きの練習をさせない方が良い」とアドバイスされる方々がいらっしゃるようです。その言葉を信じて、字の読み書きをまったく練習しないままで、入学してしまった子どもたちを、yamaはこれまでに何人も見てきました。残念なことに、そんな子どもたちの多くは、勉強が嫌いになったり、苦手意識を持ったりすることが多かったように感じています。入学してすぐのスタートダッシュに乗り遅れてしまうからではないでしょうか。

想像以上に、子どもたちは競争心を持っています。得意なことは「見て見てアピール」してきますが、苦手なことは隠そうとします。そのせいで得意なことは余計に得意になり、苦手なことは余計に苦手になってしまうことがあるのです。ですから、入学前の文字の練習について尋ねられたら、「しないよりはしておいた方がいいですよ。」とyamaは答えることにしています。

ただ、字の練習と言っても、ドリルや問題集などの教材で練習させることはお勧めしません。日常の生活の中でよく見かける文字、道路標識や看板などの表示物、家の中のカレンダーやポスターなど、私たちの身の回りには文字があふれています。そんな文字の読み方を子どもたちに教えてあげるだけでいいのです。それらの文字は、多くの場合、いつも同じ場所に掲げられています。同じ場所に行けば、いつも同じ文字が子どもたちを待ってくれているのです。先ほども書いたように、子どもたちは得意なことできることには盛んに「見て見て」アピールしてきます。知っている字の近くに来れば、自ら進んでその字を声に出して読んでくれるでしょう。そんなことを繰り返すうちに、子どもたちはどんどん字が読めるようになっていくのです。

字を読む練習はそれでいいのですが、字を書く練習はあまりお勧めしていません。日本の文字には、書き順があります(本来は書き順がなかったはずの外国語であるアルファベットにさえ、文科省は書き順を決めてしまっています)。実はこの書き順は日本の文字にとってはとても重要なのです。ひらがなの「や」と「か」、カタカナの「シ」と「ツ」のかき分けが苦手な人のほとんどは、正しい書き順を知らない人です。正しい書き順を身につければ、似ている字でも自然に書き分けができる様になります。ですから、正しい書き順は日本の文字にとって、とても大切なのです。ところが、幼いうちから字を書く練習を始めると、この書き順がむちゃくちゃになってしまうことが多いのです。放っておくと、子どもたちは自分の書きやすいように書きたいように、むちゃくちゃな書き順で字を書いてしまいます。これが身についてしまうと、矯正するのは大変です。もし、幼い子どもたちに字を書く練習をさせたいなら、子どもたちの側に付きっきりで、正しい書き順で書くように、細かく見てあげる様にしてください。これが、小学校の宿題の漢字の書き取り練習を、yamaが疑問視している理由の1つです。

他人の気持ちを受けとめること

子どもたちに字の読み方を教えるとき、同時に教えてあげておいて欲しいことがあります。それは、文字の素晴らしさや大切さです。文字は、誰かが他の人に、何か伝えたいことや、何か大切なことを伝えるために使われます。文字を読むと言うことは、その場にいない人の気持ちを受けとめることと同じなのです。子どもたちにこれに気づかせることは重要です。

このことが身についている子どもたちは、先ほどの様なプリントを見ても、イラストだけに目を奪われずに、まず文字に注目します。だから問題を解くことができるのです。無意識のうちに、問題を解くためには出題者の意図を読み取らなければならないことに気づくようになります。出題者の意図を読み取らずに、自分勝手にわがままに問題を解釈して解いていたら、正解するはずがありません。

イラストに目を奪われて文字を読み飛ばしてしまった子どもたちには注意が必要です。そのまま育ってしまうと、文章題が苦手になってしまう恐れがあるからです。
だからと言って、手取り足取り教えてやることも危険です。問題文を読んでやったり、問題文の意図を何度も説明してやるのは危険です。そんな練習ばかりさせていると、まずます、自分の力で文字に注目して題者の意図を読み取ることができなくなってしまいます。yamaでしたら、まず「プリントをよく見てごらん、問題はどこにあるかな?」、「問題にはなんと書いてあるかな?」、「自分で読んでごらん」、「なにをすればいいのかな?」、などと、どんどん聞き出して、子どもたちに考えさせます。大人が代わりに読んだり解釈してやったりすると、子どもたちは自分の力でそんなことができなくなってしまうのです。

2015.05.13

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