クワガタの話 2023.08.26

yamaの独り言
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下の画像が何の画像かおわかりでしょうか。一目でおわかりになる方はあまりいらっしゃらないと思います。

プラスチックか何かのケースにクシャクシャに丸めた新聞紙が入っているだけのように見えます。もう1枚、違う角度から見た画像を載せてみます。

おわかりになられたでしょうか。次は、丸めた新聞紙を1つとって、上から見た画像です。

よくご覧になってみてください。黒いネットの下に何かが写っています。

そうです。正解はクワガタでした。

 

yamaにとってのクワガタ

yamaにとって、クワガタは特別な存在です。確かにyamaは生き物や自然が好きです。しかしyamaは滅多に生き物を持ち帰りません。昔は持ち帰って自分で飼ったりもしたのですが、今ではほとんどしなくなりました。yamaが自然から生き物を持ち帰るのは、食べるため、か、子どもたちに見せるため、かのどちらかです。もう20年以上、デジカメを持ち歩いていますので、子どもたちに見せるためには持ち帰る必要もなくなりました。

それなのに、クワガタだけは毎年の様に何十頭も捕まえて子どもたちに見せたり配ったりしています。中南部の塾に勤めていたころからですから、これももう20年以上にはなると思います。その頃はドングリを近くの小学校に通う子どもたち全員に配ったり、塾でテナガエビを飼って子どもたちに見せたりもしていました。ですが、いつのまにかクワガタだけになってしまいました。

生きている野生生物を持ち帰り、子どもたちに見せたり配ったりすることは、けして良いことではありません。しかし、子どもたちに生きものや自然のことを伝えたり、触れさせたりすることを第一に考ると、いろいろな意味で、クワガタが「ベストに近いベター」であるようにyamaには思えるのです。

沖縄の特に学年が低い子どもたちはクワガタやカブトムシが大好きです。男の子だけでなく女の子も興味を示します。子どもたちに聞くと、「お父さんが採ってきた」とか「おじいちゃんが家で飼ってる」などの話もよく聞きます。沖縄にもカブトムシはいるのですが、数が少なくなかなか見る機会もないせいか、クワガタの人気の方が絶大である様です。沖縄本島には、7種類ほどのクワガタが住んでいますが、そのうちでも大型になるリュウキュウノコギリクワガタとオキナワヒラタクワガタが人気です。オキナワマルバネクワガタというクワガタもいるのですが採集が難しいうえに、近年、採取禁止になりましたので捕まえたり飼ったりすることはできません。リュウキュウノコギリクワガタは主に昼行性で採集には早朝と夕方頃が向いています。オキナワヒラタクワガタは主に夜行性なので採集には深夜が向いています。ですから、yamaが毎年、集めているのは、オキナワヒラタクワガタが中心でリュウキュウノコギリクワガタが少し混じるくらいです。リュウキュウコクワガタも捕まえるのですが、やはり小さいせいか、子どもたちからの人気は高くないようです。
子どもたちの中には、テレビや書籍などで見る自然や生き物が、実は自分たちの身近な場所にもいることを知らない子どもたちがたくさんいます。内地出身のyamaにとっては信じられないことでした。yamaは都会育ちでしたが自然や生き物が大好きで、幼いころからずっと自然豊かなところに憧れていました。もう40年も前、yamaが初めて沖縄に来て住みついたのは浦添市でした。その頃はまだあちこちにサトウキビ畑が広がり、今は大都会になってしまった前田近辺では、まだイノシシが出る、とさえ言われていました。住んでいたアパートの明かりにオキナワヒラタクワガタが飛んでくることも年に何回かありました。塾に勤めていた頃、沖縄のクワガタを見たことがない中南部の子どもたちが多いのにびっくりしました。学問や勉強も大切でしょうが、それ以上に、自分が住んでいるところのことは知っておくべきだ、とyamaは考えています。
たまたま捕まえたクワガタを塾にもっていったことが始まりだったと思います。クワガタを見る子どもたちの目が、いつもと違ったのです。授業の中でも、面白さや興味を子どもたちに伝えることはできます。それほど難しいことではありません。しかし、塾の授業の中では、子どもたちに驚きや恐怖や嫌悪?まで伝えることはおそらく不可能に近いことだと思います。そんな子どもたちの様子を見ているうちに、子どもたちの成長にはこんな体験こそが必要なのではないか、とyamaは考えさせられました。その時に感じたことは、今でもyamaの深いところに残っています。ですから、今でもyamaはクワガタを採りに夜中の森を歩き回るのです。

 

yama流クワガタ飼育法

yamaのクワガタの飼い方は少しヘンです。

一般に、動物の飼い方には大きく分けて三つの飼い方があります。
一つ目は「ペット飼育」です。例えばイヌやネコなどを家族の一員の様に家庭に向かい入れて飼う飼い方です。
二つ目は「実験動物飼育」です。これは、その動物にとって必要最低限の環境だけを調え、管理しやすいようにその他の環境はできるだけ制限する飼い方です。
三つめは「生態飼育」です。これは、その動物が住んでいた自然環境をできる限り再現し、その中で動物を飼う飼い方です。
yamaのクワガタの飼い方は、二つ目の「実験動物飼育」に近い飼い方です。
クワガタ(特にオキナワヒラタクワガタ)は気が荒いクワガタですので、複数を一緒に飼っているとすぐにケンカして互いに傷つけあってしまいます。ですから、本来なら小さなプラスチックカップに1頭ずつ分けて買うのがよいと思います。しかし、それでは1つずつの管理が大変であるだけでなく、置き場所にも困ってしまいます。ぶながやっ子ハウスにはそんなスペースはありません。ですから、yamaは少し大きめの一つの容器に複数のクワガタを入れて飼っています。容器の中には、プラスチックのエサ入れ、黒いプラスチックネット、新聞紙しか入れません。プラスチックネットはエサ入れの上を覆って、新聞紙がエサ(昆虫ゼリー)に触れない様にするためのものです。
クワガタはうまく飼えば、秋の終わり11月頃までは飼うことができます。特にオキナワヒラタクワガタでは冬越しさせることもできます。クワガタが早死にするのは、エサ不足、環境悪化による体調不良などが主な原因です。野生のクワガタはかなり劣悪な場所、腐ってジクジクした朽ち木や、カビやキノコが生えた落ち葉の下など、でも生活しています。しかし飼育下では、そんな状況ではなかなか長生きしてくれません。クワガタを長生きさせたければ、こまめなメンテナンスや管理、お世話が必要です。理想的には、毎日1回、掃除したり、エサを変えたり、水分を補給したり、アリやコバエなどの虫をやカビを取り除いたり、世話をしてやらなければなりません。そのためには土や朽ち木などの自然物を入れない方がよいのです。また、オキナワヒラタクワガタは気が荒くすぐにケンカするので、複数を一緒に飼うときには、ケンカしない様にそれぞれに十分な隠れ家を準備してやらなければなりません。容器いっぱいに丸めた新聞紙を入れているのはそのためです。夏休みの間、yamaはこんな飼い方で、多いときには50頭以上のクワガタを養っています。ただ、この飼い方では新聞紙の隙間に入り込んでしまうので、ケースの外からクワガタを見ることはなかなかできません。クワガタを体調不良にはしないで長生きさせるのにはよいのですが、何のためにクワガタを飼っているのかよくわからなくなってしまいます

 

クワガタにとっての幸せ

「実験動物飼育」やyamaの飼い方では、クワガタたちはいつでも清潔に静かに過ごすことができます。エサに不自由することもありませんし、他のクワガタやアリなどの他の虫たちと争うこともありません。おそらく野外で暮らしているクワガタより苦労は少ないでしょうし、長生きもできるでしょう。
しかし、それがクワガタにとって本当に幸せといえるのでしょうか
カイコをご存じでしょうか。絹糸を取るために家畜されてしまった昆虫です。もともとは野生であったと考えられていますが、5000年以上もの月日をかけて品種改良されました。今では人間が管理してやらなければ、自分の力で生きていくことすらできません。自然に戻してやっても生きていくことができません。いわゆる「生きる力」を無くしてしまっているのです。クワガタもyamaの様な飼い方を続ければそうなってしまうかもしれません。クワガタ自身は困ることはないでしょうが、誰かがお世話をしてやらなければなりません。自分以外の力を借りなければ生きていけなくなってしまうかもしれないのです。
そう考えると、清潔には静かには過ごせなくても、エサに不自由しても、他のクワガタやありなどの他の虫たちと争ったりしてでも、自然の中で暮らすことの方がクワガタにとっては幸せなんだろうな、などと思えてきます。クワガタのお世話をしながら、yamaは時折、そんなことを考えてしまうのです。そしてどうしても、そこからさらに、クワガタを子どもたちに置き換えて考えてしまうのです。

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